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ここでは主にピアノとバイオリンの特性について解説していきます。
ピアノは、楽器自体が大きくて、運ぶことができないというのが大きな特性です。自宅で弾く以外、そこの会場や教室にある楽器で弾かなくてはなりません。ですが逆に、どこでも手ぶらで行って演奏できるという利点もあります。
大きなグランドピアノと縦型でコンパクト(と言っても大きいですが)アップライトの二種類があり、また、メーカーによっても音色や鍵盤の重さがぜんぜん違うので、弾いてみたらびっくりということがよくあります。ピアノは、バイオリンやチェロとは違い、演奏する前に細かく調弦したりする必要がないのが便利ですが、だんだん音がこもってきたり、変な音になってきたりすることもあるので、時々調律してもらう必要があります。
バイオリンは、ピアノと逆で、ケースに入れてどこにでも持ち運べるのがいいところです。ただ、ケースに入れると意外に大きいので、特に朝の東京の中央線など、込み合う場所だと邪魔になるので、音楽学校の学生などは毎朝苦労しています。
バイオリンは木でできているので、特に湿度や温度などに敏感で、演奏する場所によって音が全然変わってしまったりします。バイオリンの発祥の地ヨーロッパのような、カラリとした気候だといい音が出やすく、日本の夏のようなじめじめしたところだと、音が全然出なかったりするので、演奏者は楽器のコンディションに常に注意しなくてはなりません。
バイオリンは品質がピンからキリまであって、格安のもので10万円、あの有名なストラディバリなど高いものだと何千万円もして、音ももちろん全然違います。同じような価格帯でも、作者によって音や弾き心地がガラリと変わりますし、また、弾く人の体格や弾き方の特長によっても、同じ楽器でも全然鳴り方が違ったりすることも特性と言えるでしょう。
丸い音やまっすぐな音、大砲のような音、優しい音・・まるでワインのように、木の性質や作者の個性、年月や所有者の弾き癖などで、音色が変わっていくのは面白いことです。自分に合った名器にめぐり合えたら、その人の演奏人生を変えると言っても過言ではありません。同じ演奏レベルであれば、いい音で弾けるのとキーキー音で弾くのでは、聞いた印象は天と地ほどの差があります。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」