フルートの上達方法について

フルートの写真

フルートの吹き方の基本

一般的にフルート初心者は最初から組み立てられたフルサイズのフルートではなく、息を吹き入れるパーツに当たる頭部管だけで練習を行います。最初からフルサイズで練習すると、初心者は息を吹き込むのに力みすぎ、また、楽器を持ち慣れていないため、腕が疲労するなど体力を消耗してしまうためです。管楽器はマウスピースを使うものが多いですが、フルートはマウスピースを使わないため、吹くときは唇の形が重要です。唇を横一文字に結び、口角を若干上げるくらいで固定します。

上手く吹けるようになるには唇の隙間がポイントで、それを作るための唇の形が大切です。理想的な唇の形や具体的な隙間の数値はなく、人によって大きさや形が異なるので、音が安定するように自分で方法を工夫するしかありません。息を吹き込むときは力まないようにし、ため息をつくようなイメージで息を吐き出します。そっとろうそくの火を吹き消す感じです。空気が漏れるような不安定な音になる場合は、唇に当たる頭部管の角度を変えてみます。

唇の形、隙間の大きさなども調整し、安定的に音が出せるようになるまで練習します。頭部管で練習するときから腹式呼吸を意識してください。初心者の練習のときから腹式呼吸を心がけると、フルサイズのフルートでもスムーズに上達できます。頭部管の練習で上手く音出しができるようになったら、フルート本体の持ち方と正しい姿勢に注意します。足を肩幅に開き、頭部管を水平に持つようにし、左手人差し指と右手親指、あごを使って、体全体で支えるように意識します。持ち方が正しくないと力んでしまい、十分息が出せず、響く音が出せません。

頭部管で音出しを練習する方法

フルート初心者は音出しと楽器を持つことを同時にすると上達しづらいので、頭部管で音出しする方法から始めます。息を吹き込むと半分は管の中に入り、残りの半分は外に出るとされるので、息は真っすぐではなく若干下向きに吹くようにします。音がなかなか出なかったり、か細い音しか出ない場合は次のことを試してみます。息を少し強めに吹く、頭部管を強く当てたり、逆に離したりする、頭部管に当たる位置を上に移動してみてください。または頭部管を内側か外側に動かして唇でふさぐ面積を変えてみます。

はっきりと安定した音が出るようになったら、2、3秒間息を強めにして吹くと頭部管の振動が伝わってきます。頭部管に息を吹き込むだけで高音と低音の2種類を出すことができます。息をゆっくり吹き込むと低い音になり、スピードを速くすると高い音になります。他にもいろいろな音を出すことができます。接続部分を片手で開けたり閉めたりすると1オクターブ目のラ音、2オクターブ目のソのシャープなど音程を変えられます。

さらに練習を続ければ、もっと高い音を出すこともできます。高い音を出すコツはスピードを速く強く吹くことと、上唇と下唇の隙間を小さくすることです。頭部管の横にある穴をふさいだり、開けたりすることでさまざまな音程を出すことができるので、楽しみながらフルートの音出しを上達させることができます。息が楽器の中に入り、音がどのように鳴るのか感覚を掴み、音を出すコツが分かれば、頭部管の練習は終了し、フルサイズの練習に移ります。

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管楽器の基礎練習、ロングトーン

管楽器の基礎練習で必ず行われるロングトーンは自由に音を長く伸ばす練習方法です。音を響かせるために必要なメソッドで、ロングトーンを行ったかどうかで音の響きがまったく違います。具体的には出す息の速度と強さを均一に保てるようになるので音の響きが安定してきます。唇の形や筋肉により出したい音が出せるようになり、音程のコントロールや音域を最大限にまで広げることが可能になります。最後まで息を出し切るので、自然に腹式呼吸が身に付き、フルートを吹く基礎体力が養われ、集中力も向上します。

さらに楽器のコンディションを確認することもできます。練習するときはメトロノームでテンポを設定します。始めは60にセットし、出しやすい音か好きな音でなるべく長く音出しをしてみます。特に何拍までという決まりはなく、最後にメトロノームのテンポと合わせる感じで行います。コツが分かれば、半音下の音でやってみて、徐々に音程を下げていき、次は最初の音から半音上の音から音程を上げる練習をし、テンポを落としたりしてみます。初心者がロングトーンの練習をするときに注意したいのは、最初から完璧を求めないことです。

最初の音出しで息が強すぎたと思ったら、そこで止めてやり直すのではなく、最後まで吹き切ります。次の音出しで息の強さを調整するようにし、途中で息苦しくなったら、練習を中断し、普通の呼吸をしてみます。その呼吸をフルートの音に活かすようにしてください。フルートの教本には、疲労防止のためにロングトーンは20分を目途にするようにと書かれています。20分以内の練習時間で集中して音の質を高め、上達を目指すようにします。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」

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