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クラシックギターが現在普及しているような形になったのは19世紀後半と、比較的最近のことです。
しかしギターの歴史を紐解いてみると、ギターの原型となった楽器は紀元前3000年には串状ネックリュートと呼ばる名前で既に存在していたとされています。
リュートがスペイン経由でヨーロッパに伝わると、15世紀にはヨーロッパ各地の舞曲や幻想曲で使われるようになり、16世紀にはリュートが最もポピュラーとされる楽器となりました。
スペインへ伝わり発展した平たい胴を持ったビウエラは、形を変えて平らな胴のギターラに進化しましたが、この頃はまだ6本の弦を1本ずつ張るのではなく、2本ずつまとめた弦を4組または5組張っていました。
形も楽器に開いた穴も丸いものではなく、透かし彫りでした。
16世紀末になると、ギターなどの楽器は鍵盤楽器やバイオリンなどの楽器の発展に押されてだんだん衰退しますが、2本ずつまとめた弦を5組張ったギターがリュートやビウエラに代わって発展しました。
19世紀には、6本の弦を1本ずつ張り、楽器に丸い穴を大きく開けた構造のギターができ、現在もこの構造が採用されています。この構造になったのは、弦の改良が大きく関係しています。
17世紀に巻き弦という技術が確立し、密度が高く重い弦が作れるようになったことで、弦を2本ずつまとめる必要がなくなりました。こうして現在もギターは世界各地、特にスペイン語圏や中南米で愛され続けています。
18世紀から19世紀にかけてクラシックギターの最盛期で、様々な影響を与えたとされています。
この時代にはギタリストと呼ばれる優れた才能持つ演奏家が次々と世に出て注目を浴び、有名な作曲家たちが専用の曲を作曲しています。超絶技巧のバイオリン奏者と呼ばれた奏者が曲を作ったり、有名な奏者や音楽家たちによって歌曲などにも使われたりと様々な場所で活躍しました。
その後19世紀後半に有名作曲家がクラシックギターを愛用していることが注目され、これをきっかけに世界中へと広まりました。
クラシックギターを専門とするギタリストたちが世界的に有名になっていく中、その中の一人が使用していたハウザーと称されている種類のギターが製作家たちにも大きな影響をもたらしています。ハウザーは現在でも銘器とされており、音楽に携わる方たちの中では有名なシリーズとされています。
そして撥弦楽器の歴史や音楽にも大きな影響を与えています。製作方法に改良を加え1850年にギターの中で大切だと言われるXブレイシングと呼ばれる骨組みが完成しました。この骨組みは現在のギターにも使用されています。
さらに鉄でできた弦やスチールでできた弦などが使用され、改良が加えられた後にアーチドトップギターが作られました。アコースティックギターの元になったもので、この発展の歴史には家具職人やバイオリン職人など多くの専門家が携わっていました。
1931年にはフライングパンと呼ばれる世界初のエレキギターが登場しています。その後改良が繰り返され1960年頃に現在のエレキギターに近い形ができあがりました。ギターの発展と共に様々な音楽も登場し、現在に至っています。
クラシックギターの製造の歴史を見ると、当時使われていた木材は、18世紀にはウォールナットやシダーと呼ばれる杉などが使われていましたが、19世紀以降はローズウッドが素材として適していると受け入れられるようになりました。
木材によって音に違いが出るため、現在では一つのギターの中で木材を使い分けて作られていることが多いです。
トップ板に使用されている主な素材は、昔から利用されているシダー材と松を使ったスプルース材が主とされています。弦は昔は動物の腸から作られていました。
中でも羊の腸でできた弦は高級品でした。動物の腸でできた弦は植物からできた糸に比べ丈夫で伸縮性があったため重宝されていました。羊よりも数が多いという理由で牛の腸が材料として使われるようになり、その後ガット弦や鉄弦、スチールでできた弦などが使用されていました。現在ではナイロンでできた弦が主流です。
また、クラシックギターの表面に塗られているニスは、音にも影響を与えるためギターの善しあしを決める大きなポイントとされています。ラックカイガラムシの分泌物を使用するセラック塗装は19世紀ごろには既に使用されていたのではないかとされており、歴史のある塗装方法です。
シェラック塗装と呼ばれることもあり、伝統的な塗装方法として現在も用いられています。しかし300回程乾かしながら塗り重ねる必要があり手間や時間がかかるため、どうしても高価なものとなってしまいます。比較的安価なタイプにはスプレーで吹きかけるタイプのニスが使用されており、ウレタン系塗装やラッカー塗装などがあります。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」