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歌が上手に歌えない人は音痴だとよく言われますが、そもそも音痴には正式名称があります。先天的音楽機能不全というものです。先天的というネーミングから、もともと生まれたときからそうだと思いがちです。しかし後天的に歌が上手に歌えない状態になることもあるのがこの症状の特徴です。音楽関係の業界では調子外れと呼ばれていて、音を外してしまうことからそう呼ばれるようになりました。カラオケなどで歌っていると特に気づかれやすく、本人は正しく歌っているつもりでも、楽器の演奏から音程を外して歌ってしまう人が調子外れとして該当します。
自分の周りにいる人や、もしくは自分自身が音痴だと思っている場合、それはどんな状態のときでしょうか。流れている音楽に合わせて歌うとき、音程が大きく外れてしまうこともあるでしょうし、リズムにのって歌えないこともあります。中には歌うときの歌声の大きさが不安定で、大きくなったり小さくなったりすることもあります。これらはどれも音痴と呼ばれてしまうわけですが、音痴には、大きく分けて二つのタイプがあることが分かっています。
いずれは直したいと思っていても、そもそも自分はどのタイプなのかが分からなければ改善方法も導き出せません。何が原因で音を外したりリズムにのれなくなったりしているのか、その原因が分かることで改善方法を見つけられます。
のど音痴とは、運動性が原因となっているタイプです。
例えば、カラオケの音に合わせて歌ったり、みんなと一緒に歌を歌ったりするときなどに気づきやすくなります。一曲通して歌ったとき、声量が大きくなったり小さくなったり安定しない場合が該当します。その他、一定のリズムに合わせて歌うのが難しいと感じる人も同じく該当します。歌い始めは上手にリズムにのって歌っていたけれど、途中で何かおかしいと気づいたらリズムが全く違っていて、カラオケで歌っているときに画面に流れてくる歌詞と自分のリズムが合っていないことに気づくことがあります。自分の中ではリズムにのっているつもりなので、どうして歌詞がずれてしまうのか分からず、困惑することもあります。
また、カラオケの伴奏に合わせて音程を取って歌っているつもりだったのに、自分が思うような音程を出すことが難しいと感じることもあります。のどから正しい音程を出すのが容易ではないというのも、のど音痴の特徴であり、耳からは正しく聞き取れているので自分の音程がずれていることになかなか気づきにくいという人もいます。
この場合はのどの筋力が弱いことで自分が思っているような音が出せなくなっています。のどだけでなく体全体の能力が不足していることで陥ることもあります。音を出すことは体力がいることとあらためて知った人も多いのではないでしょうか。
人にはある程度音程を聞き取ることができる能力があるため、耳で音を聞き取ることは簡単なものの、運動性部分が補われていないと正しい音程を出したりリズムにのったりすることが難しくなります。
生まれながらに感受性が低い場合はこのタイプに該当することが分かっています。先ほどののど音痴の場合は音を聞き取る能力が備わっているますが、こちらのタイプは聞き取る能力が劣っている可能性があります。自分自身で聞き取っている音程がそもそも合っていないのです。
カラオケやCDなどから聞こえてくる音程がずれているだけでなく、自分から発声する歌声に対してもずれているというのが大きな特徴です。そのため、自分自身では音程が合っているのかどうかすら判断をすることができません。みんなと一緒にカラオケに行って歌ったときに音程が外れていると思われている人の多くはこのタイプと言えます。最近はテレビ番組などでも歌が下手な人を集めて歌を歌ってもらうものがありますが、この番組に出ている方も耳音痴タイプの人が多いと言われています。
そもそも音程がずれているかどうかが自分では分からないのが特徴なので、自分が耳音痴かどうかを確認できません。そんなときは、カラオケの採点機能を使ってみましょう。最近のカラオケの採点機能は非常に優れていて、音程やリズムに合っているかどうかをしっかり判断してくれます。そして見るべきところは音程の部分です。音程のバーに合わせて歌うことができれば音程が合っている証拠ですが、音程のバーに合っていない場合は、耳音痴の可能性が高いと言えます。
しかし、半音程度のずれはずれのうちに入らないので該当しません。誰が見ても明らかに音程バーから大きくずれている場合のみが該当する可能性が高いと判断できます。現実を知ってしまうとショックが大きいかもしれませんが、音痴は絶対治らないというわけではありません。自分がどちらのタイプなのか分かれば改善方法が導き出せますし、原因を知ることで改善できるので心配する必要はありません。カラオケの採点で高得点がなかなか出ないと思っている人は、どうして音を合わせられないのか原因を探してみましょう。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」