歌が上手くなるための練習方法

ボイトレの前に呼吸法を見直す

いつもカラオケで練習しているのに、なかなか歌が上手くならない方は正しい練習方法で行うことが必要です。歌が下手な原因の一つに呼吸法があり、呼吸が正しくできていないことが大きく関係しています。呼吸が安定していないと息が続かず、高い音が出づらくなったりします。

呼吸が不安定な状態で高音や低音を出そうと無理をすると、音程が定まらず、音痴と言われる状態になってしまいます。歌が上手になるにはボイトレを受けることを考えますが、その前に自分で呼吸法を見直すことが大切です。

上手に歌を歌うには良い声を出すことが必要で、そのためのカギとなるのが呼吸法です。効率的に肺に空気を送り込むために、発声に関わる喉や首周りの筋肉を弛緩させることがポイントになります。

息継ぎするときも喉や首周りの筋肉が柔らかいと、肺に空気を取り入れることがスムーズにできます。発声するには必要な筋肉を自分でコントロールできる状態にしておくことが必要で、そのためには喉や首周りの筋肉をリラックスさせておかなくてはなりません。

呼吸法には胸式呼吸と腹式呼吸があります。胸式呼吸は胸の筋肉を動かして呼吸する方法で、胸に力が入るため、上半身が緊張しやすくなります。肩や胸、首周りに力が入り、発声に関わる筋肉も硬くなるので、良い声を出しづらくなります。腹式呼吸は腹筋や背筋、脇腹を使って呼吸をサポートする方法です。

呼吸するときは横隔膜や肺を覆う筋肉が動いて肺に空気を送り込んでいるので、横隔膜の動きをお腹周りの筋肉で助けてやります。喉や首周りの筋肉が緊張しないので、肺に空気をスムーズに取り込めるようになり、発声もスムーズになります。上手に歌うには腹式呼吸を心がけましょう。

ボイトレに効果的なリップロール

ボイトレの基礎的なトレーニングとして取り入れられているのが、リップロールまたはリップトリルと呼ばれる練習方法です。唇を閉じたまま、口から空気を出して唇をブルブル震わせます。

リップロールは正しい発声を行うために、とても有効なトレーニング方法で、ボイトレ前のウォーミングアップになります。リップロールをするときは唇が乾燥していると、上手く震えないので適度に水分を補給したり、唾液で湿らせたりしておくことが大切です。上手く唇が振動しないときは唇の上下を多少押しつけるようにしてみます。

唇が振動するようになれば、力まずに唇を震わせることができる状態を見つけて、肩や首周りをリラックスさせた状態で行います。日本人は口周りの表情筋を普段使わない方が多く、リップロールに慣れるまでは力加減が難しい場合があります。

どうしても上手くできないときは、両手の人差し指や中指、薬指を使って左右の頬を軽く押し上げ、指の位置を変えてもっとも唇が振動するポイントを見つけます。吐く息の量も調整しながら、リップロールしやすい一定の量で息を吐き続けます。

最初は空気を吐くだけですが、上手くできるようになったら、ドレミの音階を加え、半音ずつ上げては、また下がってくるようにしてみます。リップロールを行うと唇と表情筋が適度にリラックスし、音程を加えると声帯で音程を作るトレーニングになります。

リップロールを途切れずに行うには吐く息を一定にすることが必要で、そのために腹式呼吸の強化につながり、横隔膜をトレーニングすることができます。また、唇を閉じているので声のボリュームが調整され、歌うときに自然と裏声と地声をスムーズにつなぐトレーニングになります。

ボイトレを受けると歌はさらに上手くなる

もし、本気で歌が上手になりたいと思うのであれば、自主トレ以外に、定期的にボイトレのレッスンを受けて練習することをおすすめします。自己流で練習していても、どの部分がダメなのか、どのように改善すれば良いのか分からず、行き詰ってしまいがちです。

また、ボイトレの専門書やネットで情報収集するだけでは、正しい発声法を身に付けるのは難しいです。自分一人だと体内の響きが加わった声を聞いているため、声の響きを正確に捉えることができません。

声を録音し、聞きながらトレーニングしても、発声自体が正しいのか自分で判断することは難しいです。特に初心者の場合、肩や胸、首周りに力が入り、胸式呼吸をしていることが多いので、正しい発声を身に付けるためには、経験豊富な専門家であるボイストレーナーに指導してもらうことが一番です。

ボイトレの方法はいろいろありますが、入門編として発声を学びます。発声するときは声帯を通じて声を出しますが、喉だけではなく、口内や鼻腔に響かせるように声を発します。そうすることで身体全体に振動が伝わり、声量が大きくなり、安定感のある歌声に変わります。

身体に響かせるような歌い方ができれば、喉の負担も軽減され、長時間歌っても疲れにくくなります。ボイトレのレッスンを受けることで、自分がなりたい声を目指したり、欠点を克服したりする練習を行い、発声と歌をトータルにレベルアップして行くことができます。

練習次第で低音や高音を伸ばすことも可能で、音感が良くなり、ビブラートを習得したり、ステージでの立ち振る舞いを学んだりできます。声楽も同時に学べるところであれば、専門的な音楽教育を受けることも可能です。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」

音楽教育のススメ(幻冬舎)