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学校の合唱コンクールや音楽の授業、校歌斉唱など、子どもが人の前で歌う機会は意外に多いものです。
音感が身に付いていることもありますが、音痴の子どももいます。自分の子どもは、できれば音痴にならずに育ってほしいと考えるのが親心でしょう。
子どもが音痴になるのは、いくつかの理由があると考えられています。まず、幼い頃から音楽に触れる機会が少ないと、曲のリズムや音程を正確にとらえる力が養われず、年を重ねても音に合わせて歌うことが難しくなります。
音痴が親子間で遺伝するという考え方は、現在では否定されています。ただし親が音痴の場合、子どももそうなる可能性が高いといわれています。その理由として、音痴の親の歌声を聴いて育った子どもは間違った音程やリズムを聴いて育ち、それが身に付いてしまいます。
幼い頃は、保育園のお遊戯や幼児向けのテレビ番組を観ながら、曲に合わせて体を大きく使ってダンスをする機会がたびたびあります。
しかし、そういった機会があまりなかった場合は曲のリズムをつかむ力が十分に身に付かず、歌を歌う際に大切となるリズム感が育ちにくくなります。
また、音を正確に聞き取る脳の機能に先天的な障害を持っているケースもあります。しかしこれは非常にまれで、多くの場合は育ってきた環境が関係していることが多いです。人間の身体は、生まれてから6歳の間が耳の黄金期と呼ばれています。
この時期にいろいろな音や声に触れていると、音をとらえる力がアップします。10歳ほどになると耳の機能は完成し、それ以降変化はほとんどありません。なるべく早い時期に、さまざまな音楽に触れる機会をたくさん持てるようにしてあげましょう。
子どもの音感を養うために、楽しみながら行えるトレーニング方法がいくつかあります。親子のコミュニケーションの一環として、日常生活の中に取り入れてみると良いでしょう。
家や車の中で、名曲といわれているような素晴らしい曲を聴かせてみましょう。子どもは経験したことを吸収するスピードは大人よりも速いので、名曲の音程や歌手の歌声をあっという間に記憶し、音楽とはどういうものなのかを覚えていきます。
親子で一緒に歌うのも効果的な方法です。同じパートを繰り返して歌う童謡などでは、先に親が歌い、後に子どもが歌うようにすると、お手本を聴いてから歌うことができるため覚えやすいです。
さらに、曲に合わせて踊りながら歌うと、リズム感が養われます。曲のサビのみや短い曲で踊りながら歌って成功体験をさせ、徐々に長い曲にもチャレンジしましょう。
父親が子どもに話しかけるときは、できれば裏声や高い声で、歌うように抑揚をつけて声をかけると良いといわれています。親が低く抑揚のない声で話しかけていると、同じような声の出し方をするように育っていく確率が高くなります。
声帯やその周りの筋肉が未発達な小さな子どもは、細かな音の高低をコントロールできず音痴であることが多いです。
自分の声をコントロールできるようになるには、まずは楽しく大きな声で歌って、音楽は楽しいものであると実感させることが大切です。楽しいと感じれば継続的、日常的に歌うようになり、自然と音感が身に付いていきます。元気に歌えた後は、たくさん褒めてあげることも忘れてはいけません。
家庭で教える自信がないという人は音楽教室に通わせるという方法もあります。
子どもを音痴にさせないために、音楽教室に通わせる親も少なくありません。歌のプロである講師が教えてくれるため、正確に音をとらえる力、声をコントロールする力が身に付きやすくなります。
音楽教室では、幼児向けのコースでリトミックレッスンを採用しているところがあります。リトミックとは、音楽と自分の身体や心とを調和させる音楽教育法の一種です。自分の感覚で音やリズムをとらえて自発的に体を動かすことで、音感やリズム感のみならず、運動能力や思考力などの幅広い能力が育まれます。
子どもの成長に大切な能力が身に付くため、人気のレッスンです。音楽教室では、リトミックだけでなく楽器のコースもあります。楽器を学ぶと、歌に大切な音感やリズム感が養われていきます。
また、学校の合唱クラブに入るのも一つの手です。音楽教室や合唱クラブには、歌うことや音楽が好きな子どもたちが集まっています。そのような環境に身を置くと、互いに切磋琢磨しあうようになり、自然に一人ひとりの歌のレベルが向上していきます。
音楽教室に通わせたいなら、まず教室が開催している体験レッスンに子どもを連れて行って、様子を見てみると良いでしょう。体験レッスンのほか、夏休み中などに短期間限定の音楽レッスンを行う教室もあります。
それらを体験させて子どもに感想を聞き、楽しい、通いたいと思っているようであれば入会を決めるのがおすすめです。無理やり通わせるのではなく、あくまで本人の気持ちを尊重することが大切です。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」