バイオリンの歴史について

バイオリンは弓を弦で擦って音を出す楽器であり、このような楽器を擦弦楽器と呼びます。この擦弦楽器の先祖であるとされているものには、アラビアのラバーブ、中世にオリエントから伝わってきたレベック、または、中世末期のヨーロッパで使われたフィドルなどがあります。東洋で使われていたモンゴルの馬頭琴や中国の二胡は、ラバーブから発展した楽器であり、バイオリンの親戚になります。

しかし、これらの先祖とされている楽器と比較してみると、バイオリンの楽器としての完成度は並外れています。完全に完成しているのです。少しずつ改良を重ねていって完成したものではなく、突然、完成された形で北イタリアのクレモナで誕生したと言われています。もちろん、その最初にクレモナで誕生したバイオリンが、現存している訳ではありません。このことについては、絵画から推測されています。

歴史に残っている製作者は北イタリア人であり、クレモナやサロという地域で活躍をしました。この歴史に残る製作者であるアンドレ・アマティとガスパロ・ダ・サロが制作したヴァイオリンは現在も残っています。最も古い楽器は16世紀後半のものです。ただし、それ以前にも、絵画で描かれていますし、レオナルド・ダ・ヴィンチが、ヴァイオリンに似た楽器の設計図を描いています。この設計図も現存しています。

17から18世紀頃、クレモナではニコロ・アマティ、ヤコグ・シュタイナー、ストラディバリ、グァルネリなど、有名な製作者がたくさん現れました。今でも有名な名器であり、未だ彼らがつくった作品を超えるものは現れていないと言われているのが、アントニオ・ストラディヴァリと、バルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ・デル・ジェスです。

次第に演奏される曲の音域が増えていったため、指板が延長されました。また、高いピッチに対応するために駒が高くなりました。18世紀以前に制作されたものも改良されましたが、改良したものをモダン・ヴァイオリン、改良しなかったものをバロック・ヴァイオリンと呼びます。

このように、バイオリンの歴史は16世紀頃に始まっていますが、それ以前からも描かれていた絵画や設計図があるため、見ることが出来ます。しかし、起源やどのようにして完成したものであるのかということは、未だわかっていません。バイオリンは徐々に改良を重ねて完成していたtものではなく、突然、完成した形で現れた楽器なのです。

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