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バイオリンの練習をする時、誰かの前で弾くことになった時、演奏する機会を得てケースの蓋を開けてみると、張ってあった弦が緩みきってしまっていた、という事はありませんか。温度の変化が激しい環境にバイオリンを保存すると、楽器に大きな負担がかかることがあります。こんな事態を防ぐためにも、正しい保存法は大切な事となるのです。大切に保管するに当たって最低限の心得は「高温多湿の環境に置き続ける事」です。
発祥地のヨーロッパとは違い、日本は春夏秋冬の気温の変化が激しいです。それ故バイオリンにとっては厳しい環境になりやすいので、正しい保管法が重要になります。木材で出来たバイオリンは極端な冷房や暖房に弱く、先述した通り張った弦が緩んでしまったり、演奏中にいきなり先端のネジが緩んで凄い音が出てしまう原因にもなります。酷い時は、ニスがひび割れしたり、本体から木が剥がれたりもします。では、正しい保存法とはどんなものでしょうか。
楽器に使用されている接着剤は、高温で液状化し、低温で固形化する特性があります。なので暑い場所での保管、放置は禁物となります。夏場の車内に置きっぱなしは厳禁です。少し立派なケースには湿度計や加湿器が付属されていることが多いです。湿度が低く乾燥する時期にはこれをうまく使うと良いでしょう。また、雨の日のように湿度が高い時は専用の乾燥剤をケースに入れておきましょう。
先述した内容に「夏場の車内に置きっぱなしは厳禁」と書きましたが、ここでいう車内とは「後ろ側に荷物を入れるトランク」のことです。夏場にトランクを開けるとむわっとした空気が流れてきますよね。つまりこのトランクのような所は楽器にとって劣悪な環境となります。しかし、車で運ぶ手段が悪いわけではありません。どうやって運ぶのかは簡単、座席に置くのが正しいのです。人間が過ごしやすい環境の温度と湿度は、バイオリンにも優しい環境となっています。つまり、人間が過ごしやすい所に一緒に置くことが最善策なのです。
この楽器は非常にデリケートな物です。夏場の暑すぎる日差しも、冬場の厳しい寒風も、私たちにとってはかなり辛いものです。それは楽器も同じで、両方の激しい温度と湿度に大変弱いのです。楽器を大切にする心があるのなら、人間にとって優しい空間に大切に保管して下さい。最初に述べたような事を避ける為には、我々人間と一緒の空間がバイオリンにも優しいという事を心掛けておきましょう。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」